盆ノ木至が描く本作は、死という恐怖を爆笑へと昇華させ、古典的な吸血鬼像を鮮やかに脱構築しています。第26巻で見せる性別逆転や祝祭の狂騒は、キャラクター性を遊び尽くす著者の緻密な構成力の賜物です。一瞬で灰になるドラルクの虚弱さは、逆説的に「生」の滑稽さと愛おしさを我々に突きつけます。
アニメ版が声優の熱演で笑いを増幅させるのに対し、原作本は疾走感あふれる台詞回しを文字として噛み締め、行間に潜む知的な狂気を感じられるのが最大の醍醐味です。初期の読み切り版収録も、作品の進化の軌跡を辿る文学的資料として、映像とは異なる深い満足度を読者に与えてくれます。