あらすじ
愛する人(ドール)を守り、心を捧げ、共に人生を歩みたい──‼
14歳で運命的な一目惚れをして以来、38歳になる今も、
初恋のドールに誓った恋心を手放せずにいたレストランシェフの阿部。
そんなある日、店の常連客に頼まれて、とある青年を一か月預かることに‼
一見チンピラのような風貌に隠れた、宝石のような紫の瞳に銀髪──
その青年・高嶺は、とうに製造も所有も禁じられた希少な“裏ドール”だった!?
ずっと粗雑に扱われ続け、人間に一切期待しなくなっていた高嶺。
つねに高嶺を尊重する阿部のことも最初は理解できずにいたけれど…!?
人間もドールも、心の中にある想いに変わりはない──
人間とアンドロイドが紡ぐ近未来の御伽噺、待望のスピンオフ‼
ISBN: 9784199011863ASIN: 4199011862
作品考察・見どころ
凪良ゆうが描く物語の真髄は、欠落を抱えた者たちが織りなす究極の献身にあります。本作はアンドロイドが実用化された近未来を舞台に、無機質な器に宿る心の在り処を鋭く問い直します。一途な初恋を抱き続ける阿部と、心を踏みにじられてきた高嶺。二人の孤独な魂が交錯する時、読者は人間らしさとは何かという普遍的な哲学と、震えるような詩情に立ち会うことになるのです。 凪良特有の透明感溢れる文体と、丸山ハシシの美学が共鳴する世界観は圧巻です。単なるSFに留まらず、愛する者を守り抜く執念が、清冽な御伽噺へと昇華されています。理不尽な世界で、不器用ながらも絆を編み上げていく過程はあまりに切なく、魂を揺さぶる希望に満ちており、大人の鑑賞に堪えうる文学的な深みを湛えた一冊です。


