脚本家・長田育恵が紡ぐのは、名もなき草木に命を吹き込む万太郎の姿を通じ、この世に無駄なものなど一つもないという根源的な肯定の物語です。土佐の風土と激動の明治を舞台に、知的好奇心の奔流を抒情的な言葉で定着させた筆致は、読者の心に瑞々しい生命の息吹を吹き込みます。
映像版が花々の色彩を視覚的に訴えるのに対し、本書は登場人物の葛藤や情熱を、活字ならではの解像度で描写しています。視覚的な感動を言葉の力で魂に刻み直すという、メディアを超えた相乗効果こそが本作の真髄。両者に触れることで、万太郎が追い求めた真理はより多層的に響き渡るでしょう。