あらすじ
18世紀後半、東北。冷害による食糧難に苦しむ村で、人々から蔑まされながらも逞しく生きる少女・凛。
彼女の心の救いは、盗人の女神様が宿ると言われる早池峰山だった。ある日、凛の父親・伊兵衛が村中を揺るがす事件を起こす。
家を守るため、村人達から責められる父をかばい、凛は自ら村を去る。
決して越えてはいけないと言い伝えられる山神様の祠を越え、山の奥深くへと進む凛。
狼達から逃げる凛の前に現れたのは、化け物なのか人間なのかもわからぬ不思議な存在であった。
作品考察・見どころ
本作は、閉鎖的な村社会の残酷さと、峻厳な自然が持つ圧倒的な神々しさを対比させ、人間の生存本能と尊厳を極限まで描き出しています。主演の山田杏奈が放つ、絶望の淵に立たされながらも静かに燃える瞳の強さは圧巻であり、森山未來や永瀬正敏ら実力派俳優との火花散る共演が、観る者の魂を激しく揺さぶります。
柳田國男の「遠野物語」を原案としながらも、文学が持つ叙情性を、五感を刺激する血生臭いリアリズムへと昇華させている点が本作の真骨頂です。文字では語り尽くせない自然の恐怖と、そこへ逃げ込むことでしか得られない究極の解放感を映像で見せつけることで、現代を生きる私たちの内面にも潜む野生を鮮やかに呼び覚ます傑作です。