小川哲
才能に焦がれる作家が、自身を主人公に描くのは、承認欲求のなれの果て―ー。いま最も注目を集める直木賞作家が描く話題の最新作!
本作の真骨頂は、著者・小川哲が自身を投影した「僕」を語り手に、虚構と現実の境界を冷徹に踏み越えるメタ的な凄みにあります。並外れた観察眼で暴かれるのは、承認欲求という沼に足を取られた者たちの滑稽で痛切な孤独です。小説という嘘を用いて、読者の内側に潜む卑俗な真実を鮮烈にあぶり出す筆致には、ただ圧倒されるほかありません。 「黄金」という虚飾を追う人々の浅ましさを描きつつ、その底流には書くことへの執念と人間への奇妙な共鳴が流れています。他人の人生を覗くつもりが、いつの間にか自分自身の魂を解剖されているような知的な興奮と戦慄を禁じ得ません。現代人の虚栄心を容赦なく撃ち抜く、毒を含んだ極上のエンターテインメントです。
小川 哲 は、日本の小説家。千葉県千葉市出身。日本SF作家クラブ会員。妻は漫画家の山本さほ。