伊坂幸太郎の軽快な娯楽性と阿部和重の冷徹な写実性が、これほどまでに熱く共鳴した奇跡は他にありません。本作は単なる逃亡劇を超え、巨大な不条理に立ち向かう個人の魂を描いた現代の叙事詩です。絶望の淵で再会した二人が放つ生命の輝きは、閉塞した日常を撃ち抜く最強の雷光となるでしょう。
映像版の疾走感も鮮烈ですが、原作には活字ならではの緻密な伏線と、絆が深化する過程に宿る濃密な情感があります。特撮的高揚感と文学的深みが溶け合うこの物語は、頁をめくるごとに読者の胸を焦がし、世界を変える勇気を授けてくれる至高のエンターテインメントです。