あらすじ
ISBN: 9784101287591ASIN: 4101287597
湖畔の介護施設で暮らす寝たきりの男性が殺された。捜査にあたった刑事は施設で働く女性と出会うが、二人はいつしかインモラルな関係に溺れていく。一方、事件を取材する記者は死亡男性がかつて満州で人体実験にかかわっていたことを突きとめるが、なぜか取材の中止を命じられる。吸い寄せられるように湖に集まる男たち、女たち、そしてーー。読後、圧倒的な結末に言葉を失う極限の黙示録。
吉田修一の筆致が冴え渡る本作は、静謐な湖を舞台に、人間の深淵に潜む欲望と歴史の闇をえぐり出した極限の黙示録です。刑事と看護師が堕ちていくインモラルな関係は、単なる倒錯ではなく、言葉を失った魂が放つ切実な救済への叫びといえるでしょう。 実写映像版では生々しい肉体のぶつかり合いが強調されますが、原作小説の真骨頂は、現代の事件から戦時中の満州へと繋がる負の連鎖を、テキストならではの深遠な思索で解き明かす点にあります。映像が放つ圧倒的な視覚体験と、書物だけが到達し得る静かな絶望。その双方が交錯する時、読者は震えるような感動に包まれます。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
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