あらすじ
作家と、猫と、不思議な手紙とーー…
深山杏之介は、小説家・高村紫汞先生の家で書生として暮らしている。
身の回りのお世話や先生宛に届く手紙を清書をしたりと、書生としての生活にも慣れ始めた杏之介。
そんな中、きゅうりを置き土産に河童の来訪があったり、雷とともに不審な男がやってきたり…。
まだまだ予期せぬ“不思議”に振り回されてーー!?
「ふるぎぬや紋様帳」「雨柳堂夢咄」の波津彬子が贈る、流麗なる幻想譚!
【編集担当からのおすすめ情報】
華麗で幻想的な世界観で、絶大なファンをもつ大人気作家・波津彬子先生の最新作。
既刊重版出来の好調シリーズです!
3巻では、河童、雷獣、たぬき…と、不思議を運ぶ獣が沢山登場!
もちろん大人気の猫の櫨染(ろぜん)さんも大活躍します。
日本各地から届く奇妙な手紙が誘う、
不思議なものがたりをお楽しみください。
ISBN: 9784098733699ASIN: 4098733692
作品考察・見どころ
波津彬子の描く世界は、静謐でありながら芳醇な香気を放っています。本作の白眉は、手紙という極めて個人的な言葉が、あやかしを招き寄せる境界線として機能している点です。文豪・紫汞の隠遁生活に漂う浮世離れした美学と、書生・杏之介の瑞々しい感性が交錯することで、読者は日常のすぐ裏側に潜む異界の体温をありありと感じ取ることができます。 河童や雷獣といった異形の存在を、季節の移ろいや人の業を象徴する愛おしき隣人として活写する筆致は見事の一言。言葉の端々に宿る雅びな情趣と、猫の櫨染が見せる気まぐれな愛らしさ。それらが織りなす幻想譚は、目に見えぬものへの敬意と、丁寧な時間の慈しみ方を教えてくれる至極の文学体験となるはずです。