あらすじ
神様を探す二人の旅が始まる。
「少しばかり不思議な話を書きました。
木と森と、空と大地と、ヒトの心の物語です」
ーー夏川草介
第一話 寄り道【主な舞台 青森県弘前市、嶽温泉、岩木山】
第二話 七色【主な舞台 京都府京都市(岩倉、鞍馬)、叡山電車】
第三話 始まりの木【主な舞台 長野県松本市、伊那谷】
第四話 同行二人【主な舞台 高知県宿毛市】
第五話 灯火【主な舞台 東京都文京区】
藤崎千佳は、東京にある国立東々大学の学生である。所属は文学部で、専攻は民俗学。指導教官である古屋神寺郎は、足が悪いことをものともせず日本国中にフィールドワークへ出かける、偏屈で優秀な民俗学者だ。古屋は北から南へ練り歩くフィールドワークを通して、“現代日本人の失ったもの”を藤崎に問いかけてゆく。学問と旅をめぐる、不思議な冒険が、始まる。
“藤崎、旅の準備をしたまえ”
【編集担当からのおすすめ情報】
生きること学ぶこと問う、新世紀の“遠野物語”。
カバーイラストは、絵本作家のいせひでこさんが担当します。
ISBN: 9784094072839ASIN: 4094072837
作品考察・見どころ
本作の真髄は、民俗学というレンズを通し、合理的な現代で見失われた「目に見えない豊かさ」を再発見する旅にあります。夏川草介の端正な筆致は、日本の古き良き風景を瑞々しく描き出し、読者を現実の喧騒から切り離された、神秘的で温かな精神世界へと誘います。 偏屈ながら真理を突く古神教授の言葉は、単なる知識を超え、生き方そのものを問い直す力を持っています。知的好奇心を満たしつつ、読了後には世界が少しだけ尊く感じられるはずです。失われゆくものへの祈りと再生の希望が込められた、魂を震わせる傑作です。