眞藤雅興氏が描く本作の真髄は、非日常が日常にじわりと溶け込む瞬間の、あまりに繊細な筆致にあります。第二巻では、制御不能な力と他者の視線という、思春期の誰もが直面する痛みをドラゴンの性質を借りて見事に寓話化しています。異形であることを誇張せず、日々の小さな戸惑いとして描くことで、読者の心に深い共鳴を呼び起こす文学的な深みが最大の見所です。
映像化作品では、原作の静謐な間が音響や色彩によって鮮やかに拡張されています。特に放電の描写は、紙面の緊張感が映像で躍動感へと昇華され、ルリの葛藤がより身体的に伝わります。静かな原作と躍動する映像、両メディアを往復することで、少女が自己を受容する過程をより重層的に体感できる、現代の瑞々しい神話といえるでしょう。