あらすじ
日本中に「武技に優れた者は京都天龍寺境内に集まれ。警察官二千年分の俸給がもらえる可能性がある」という旨が書かれた新聞がばらまかれた。大金が欲しい嵯峨愁二郎が指定された日時に向かうと、そこには腕に自信がありそうな者が大勢いた。そして槐(えんじゅ)という人物が現れ、「こどく」という「東海道の七ヵ所を通過するために必要な札を取り合うゲーム」の開幕を告げた。金を欲しがる人間たちによる札の奪い合い、殺し合いが始まった! 愁二郎は道中で出会った、「こどく」唯一の少女・双葉と東京を目指すが、続々と強敵が現れる!! 圧倒的な能力ですべてを撃ち抜くアイヌの青年・カムイコチャ、一太刀で何人も殺戮する幕末最強の人斬り・貫地谷無骨。そんななか化け物・岡部幻刀斎を倒すため、京八流奥義を学んだ愁二郎たち兄弟妹は手を組むことに!! 危機にあいながらも「こどく」を生き抜く愁二郎と双葉たちは、「こどく」の裏に明治政府の大物がいることを知ってしまう…。
ISBN: 9784065388471ASIN: 4065388473
作品考察・見どころ
今村翔吾が描くのは単なる生存競争ではない。明治という激動期に、武士の魂が最後の輝きを放つ刹那の美学だ。本巻の兄弟の相克は、血の絆さえも闘争の火種に変える残酷な運命を突きつける。極限状態で露わになる人間の本性と、そこに宿る高潔な精神性にこそ、本作の本質的な魅力が凝縮されている。 実写化も話題だが、紙媒体ならではの筆致の凄みは格別だ。映像が肉体の躍動を視覚化する一方、原作は行間に潜む心理的圧力を読者の脳裏に刻みつける。メディアを越えて共鳴し合うこの熱き物語は、歴史の深淵を覗き見るような興奮を、私たちに約束してくれるだろう。