本作は、英雄アムロ・レイの虚像を「記録」の視点で解体する傑作です。第三巻で描かれるベルトーチカの告白は、単なる追憶に留まりません。彼女が語る「失望」の裏には、神格化された救世主という重圧に喘ぐ一人の青年の、あまりに脆く不器用な実像が克明に刻まれています。
アニメ版の空白を埋める本作は、映像との対比で真価を発揮します。劇的演出が先行する映像に対し、本作の濃密な心理描写は、登場人物の魂の呼吸を浮き彫りにします。映像で目撃した歴史の裏側に潜む情動を追体験することで、ガンダムという物語が持つ文学的な深淵を再発見できるでしょう。