あらすじ
ISBN: 9784041140727ASIN: 4041140722
世界的な大ヒット作品となった映画『すずめの戸締まり』。
新海誠監督自らが描いたその設計図(絵コンテ)を完全収録!
〈絵コンテ集〉シリーズ上、過去最大ボリューム(総ページ992p)で刊行。物語世界の骨組みを辿る。
助監督・三木陽子が絵コンテに書き込んだ打合せメモも特別収録。
巻末には、本書のために語った監督ロングインタビューも掲載。
■CONTENTS 目次
・映画『すずめの戸締まり』について
・絵コンテの見方
・助監督 三木陽子コメント
・用語解説
・絵コンテ
Apart
Bpart
Cpart
Dpart
・新海誠 インタビュー
本書は、完成された映像の裏に潜む新海誠の「思考の呼吸」を浴びるための聖典です。単なる設計図を超え、言葉にならない震災への鎮魂と少女の成長が、監督自らの筆致で執拗なまでに刻み込まれています。一コマごとに宿る微細な感情の起伏は、映画本編では一瞬で流れてしまう切実な祈りの輪郭を、読者の心に静かに、かつ鮮烈に焼き付けます。 映像という完成品に対し、本書は助監督のメモを含む製作過程の「葛藤」を可視化しています。文字と線画の静謐な表現が、かえって読者の想像力を刺激し、劇中の音や光の背後にある重層的な哲学を浮かび上がらせるでしょう。映画を観る体験と、この絵コンテを読む体験が共鳴したとき、作品が真に伝えたかった救済の本質が、立体的かつ情熱的に立ち上がってきます。

現代アニメーション界において、光と空の詩人と称され、観客の心の最も繊細な場所を揺さぶり続ける稀代の映像作家、それが新海誠です。日本ファルコムでのゲームクリエイター経験を糧に、1999年の短編「彼女と彼女の猫」で産声を上げたそのキャリアは、既存のスタジオシステムに依存しない個の力による静かなる革命でした。一人で作り上げた「ほしのこえ」での衝撃的なプロデビューを経て、彼はコミックス・ウェーブ・フィルムとの歩みの中で、緻密な風景描写と喪失感を抱えた男女の心理を鮮やかに重ね合わせる独自の美学を確立します。叙情的な連作「秒速5センチメートル」や、雨の情景が息を呑むほどに美しい「言の葉の庭」を経て、2016年の「君の名は。」では世界的な社会現象を巻き起こし、日本アニメーションを新たな次元へと押し上げました。これまで25作品に携わり、平均評価7.1という極めて高い水準を維持し続けている事実は、彼が単なるヒットメーカーではなく、一貫して「心の距離」という普遍的なテーマを研ぎ澄ませてきた証左と言えるでしょう。アニメ、ドラマ、ロマンスという得意領域において、彼が描く空の色や降り注ぐ光は、もはや一つの言語として機能しています。「天気の子」や「すずめの戸締まり」で見せた、自然の脅威と個人の願いを衝突させる壮大な物語は、混迷する現代社会において、私たちが失いかけた純粋な祈りを代弁しています。圧倒的な映像美と魂を震わせる叙情性の融合こそが彼の真骨頂であり、これからも世界中をその鮮烈な色彩で染め上げていくに違いありません。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。