W.W.Jacobs
Reproduction of the original: Dialstone Lane by W.W. Jacobs
W.W.ジェイコブズといえば怪奇短編が有名ですが、本作の滑稽で皮肉な筆致こそが彼の真骨頂です。平穏な日常に飽いた人々が、虚構の秘宝に突き動かされる様は、滑稽ながらもどこか哀愁が漂います。夢想と現実の境界で揺れ動く人間心理を、これほど軽妙かつ残酷に描き出した手腕には脱帽せざるを得ません。 特筆すべきは洗練された会話劇の妙です。虚栄心と打算が入り混じる言葉の応酬は、読者に心地よい緊張感と笑いをもたらします。冒険への憧憬を英国風の乾いたユーモアで包んだ本作は、真実より魅力的な「嘘」の魔力に引き込まれる、極上のエンターテインメント文学と言えるでしょう。