あらすじ
いじめや不登校、さらに学級崩壊などの問題で、今日の学校は深刻な課題を抱えているが、学校現場にふさわしい実践的で直ちに応用可能なカウンセリングとして、ブリーフセラピーが今最も注目されている。個人の内面よりも2人以上の関係性、過去よりも未来、そして問題よりも解決や肯定面に注目するこの方法は、時間的制約、過度のケース、家族がらみの問題、継続が難しい状況、多人数への対応などにも対処でき、また来談への動機づけの低い児童生徒にも適用できる方法である。学校専任ブリーフ・セラピストとしての実績をもち、新進気鋭の研究者でもある著者は、「何がうまくいくのか」という観点から、実際に現場で体験したことがらに基づいて、初回面接の査定から、介入、進歩の評価と維持までの各段階を、事例に即して具体的に描きだしている。数多くの面接場面を引用し、さらに、役立つ介入のための文献の紹介もなされているため、学校カウンセラー、現場教師はいうまでもなく、研究社や相談員、さらに、学校の問題に関心のある多くの人々にとっても、極めて有益なものである。
作品考察・見どころ
ジョン・J・マーフィーが描くのは、教育現場における「希望の再構築」という名の叙事詩です。原因という過去の呪縛を解き放ち、未来の萌芽を見出す眼差しは、人間への圧倒的な信頼に満ちています。不登校やいじめを個人の病理ではなく、動的な「関係性のドラマ」として捉え直す視座の転換こそが、本書が放つ真の知性であり、最大の魅力です。 対話に潜む微かな成功を拾い上げる筆致は、暗闇に星を見出すような文学的感性を湛えています。生徒を弱者ではなく、未来を拓く変革者と定義する姿勢は、読者の価値観を根底から揺さぶるでしょう。閉塞した教室に光を呼び込み、物語を再び動かし始める、全教育者に捧げられた魂のバイブルです。