あらすじ
CWAヒストリカル・ダガー受賞&第1位「このミステリーがすごい! 2005年版」海外編ベスト10 19世紀半ばのロンドン。17歳になる孤児スウは、下町の故買屋の家に暮らしていた。ある冬の晩、彼女のもとに顔見知りの詐欺師がやってくる。さる貴族の息子というふれこみで、〈紳士〉とあだ名されている、以前スウの掏摸の腕前を借りにきたこともあった男だ。彼はスウにある計画を持ちかける。とある令嬢をたぶらかして結婚し、その巨額の財産をそっくりいただこうというのだ。スウの役割は、令嬢の新しい侍女。スウはためらいながらも、話にのることにするのだが……。
ISBN: 4488254039ASIN: 4488254039
作品考察・見どころ
サラ・ウォーターズは、ヴィクトリア朝の濃密な空気と共に、階級社会の残酷さと人間の剥き出しの欲望を耽美に描き出します。下町の喧騒と静謐な邸宅の狂気が鏡合わせのように共鳴する世界観は、読者を物語の深淵へと引きずり込む圧倒的な力に満ちています。 物語の核心にあるのは、偽りと真実が反転し続けるスリリングな心理戦です。二人の少女の運命が交錯する時、読者は「信じること」の危うさを突きつけられるでしょう。鮮やかな伏線回収の快感と共に、内面に潜む荊のような棘と、それを抱きしめる痛切な愛の形を、ぜひその手で紐解いてください。