あらすじ
早坂由紀夫は、依頼されたものはなんでも届ける“届けや”だ。しかし、彼には記憶がない。“はやさかゆきお”という名前も社長の奈緒美がつけたものだ。おまけに、由紀夫の記憶喪失の裏には、消えた51億円が絡んでいるらしい。由紀夫は一体何者なのか―!?様様な人間が絡み合い、思惑が交差するなか由紀夫の記憶の欠片探しが始まった!!飯田譲治・梓河人が描くミステリアスな贈り物。
ISBN: 4043493037ASIN: 4043493037
作品考察・見どころ
記憶のない青年が届ける行為で自己を再定義する本作は、飯田譲治らしい形而上的な問いに満ちた傑作です。荷物と共に人の業や運命という想いを運ぶプロットは、空っぽな主人公の心に彩りを灯します。51億円の謎を軸に、現代社会の空虚さと絆を抉り出す筆致には、一級のミステリーを超えた文学的な深みが宿っています。 映像版では主演のカリスマ性と疾走感が際立ちますが、原作はより内省的で、記憶を辿る焦燥感やギフトの重みが緻密に描かれます。映像のクールな美学と、活字が深掘りする孤独と再生。二つのメディアを往還することで、物語に込められた真の救済が読者の魂に鮮烈に響くはずです。