GinetteRaimbault/CarolineEliacheff/加藤敏
彼女たちは拒食によって別の生きかたを訴えているのだ。拒食女性たちを、病的なほどに痩せなければならないという衝動に駆りたてる力とは何なのだろうか? 彼女たちの目的は何なのか? また彼女たちは、どのような星座のもとに、いや、どのような家族神話の中にこうして囚われているのだろうか?拒食女性は、社会秩序から逃れられない症状を提示しながら、私たちに根本的な問いを投げかけている。「自分は誰? 私の場所はどこ?」と。彼女は、自分が症状を自由にするどころか、症状の中で身動きできない状態であると否応なく意識するとき、初めてこれらの問いを発することができる。本書では、程度は異なるがいずれも伝説的な4人の人物(オーストリア皇妃シシィ、ソフォクレスが描いたアンティゴネー、哲学者シモーヌ・ヴェイユ、シエナの聖カテリーナ)について語ることによって、この拒食症とは何かの糸口を探っていく。4女性のうち3人は、彼女たちの症状がまだ精神医学的に分類されていなかった時代の人物である。神経性食欲不振症が認知されてからまだ1世紀しかたっていないのだ。「精神的」疾患というレッテルはショックを与える。しかしさまざまな時代、国、階層を通してみると、拒食症というこの存在様式が時代や場所にかかわらずに出現していることがわかる。彼女たち一人ひとりは自分の肉体を賭けて、懸命に自分自身の真実を述べようと試みた。ある大義のために犠牲を払うほどの彼女たちの戦闘的な態度は、現代の拒食女性たちの態度に匹敵する。