本作の真髄は、眩い光の中にいるアイドルという虚像と、一人の少女としての素顔の境界で揺れ動く少年の、切なすぎる心理描写にあります。遠ざかる二人の距離は単なる恋愛の枠を超え、若者が直面する理想と現実の残酷な乖離という普遍的な痛みを、清水マリコ氏の筆致が鮮烈に描き出しています。
非日常の象徴であるみつきと、等身大の日常をくれる柚らとの間で揺れる葛藤は、愛の本質を我々に激しく問いかけます。側にある温もりに惹かれながらも、孤独な純愛を貫こうとする魂の叫びは、読者の胸を激しく揺さぶる、あまりに美しく鋭利な傑作です。