斎賀菜月/烏丸紫明
偽りの噂に傷ついた令嬢・カリナが出会ったのは、誰よりも優しい“ケダモノ”でした。優しい旦那様・ノクトを望まぬ婚姻で不幸にするわけにはいかないーー。そう思うのに、初めて向けられた温もりに触れ、次第に彼のそばから離れがたくなっていくカリナ。やがてふたりは夜を共にし、甘い朝を迎える。「これは誘いと受け取っていいのか? 今日は一日ベッドで過ごしてみるか」思わずノクトの体に触れてしまったカリナに、彼は甘く囁き……!? 愛を知らないケダモノ辺境伯 × 悪女に仕立てられた令嬢が紡ぐ、純愛の極上ラブロマンス!
斎賀菜月氏が描く本作の真髄は、世間に貼られた悪女という虚像に押しつぶされそうなヒロインが、辺境の獣と称される男の懐で、凍てついた心を溶かしていく再生の美学にあります。自己犠牲的な献身と、抑えきれない渇望が交錯する心理描写は圧巻で、孤独な魂が響き合う瞬間の輝きは、読者の胸を強く打ち鳴らします。 言葉にできない情念を、匂い立つような甘美な文体で表現する手腕も見事です。単なるロマンスの枠を超え、互いの欠損を埋めるような魂の救済が、緻密な筆致で綴られています。触れ合う指先一つに込められた熱量が、ページをめくるごとに読者を深い情愛の淵へと誘う、まさに大人のための至高の純愛物語といえるでしょう。