山田典枝
舞台は“魔法遣い”という存在が普通に認知されている現代の日本。主人公菊池ユメは正式な“魔法遣い”になるため、研修指導員・小山田先生のもとでひと夏を過ごしました。研修を終えたユメは、小山田先生に手紙を書きます。それはユメの大切な思い出の数々でした。
魔法が奇跡ではなく、公的資格として日常に溶け込んだ世界。本作の真髄は、万能の力に伴う「痛み」と「祈り」を、山田典枝が透明な筆致で描いた点にあります。魔法を使うことは、誰かの孤独に触れること。ユメの葛藤は、私たちが他者と向き合う際の覚悟を鋭く問いかけてきます。 手紙で綴られる回想は、過ぎ去った夏を一層切なく際立たせます。魔法遣いとして、一人の少女として歩み出した彼女の言葉は、読者の純粋さを激しく揺さぶるでしょう。共に生きるための力とは何か。その答えを探す旅路は、大人が読むべき魂の浄化の物語です。
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実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。