また、見られている。図書館で働いているホリーは、書架係として新しく入った男が、ずっとこちらを見つめているのに気づいていた。わたしは人を振り向かせるような美人じゃないのにどうしてクレイグ・フォードはあんなふうにわたしを見るのだろう。ホリーが気になったのは、彼のハンサムな顔でもすらりと引き締まったからだでもなかった。ダークブルーの瞳によぎる苦悩と悲しみの色だ。ホリーは思いきって直接きいてみることにした。「どうしてわたしを見るの?あまり居心地いいものではないわ」「それは...きみだけに親しみを覚えたから...」ためらいがちに語ったクレイグの意外な告白を聞いて、ホリーは何も言えなくなった。彼は事故にあって過去の記憶をすべて失っていた。