あらすじ
第15回GA文庫大賞《大賞》受賞作。 目の見えない君は僕の顔も知らない――でも、この恋はふたりだけに見えている。 「打上花火、してみたいんですよね」 花火にはまだ早い四月、東京の夜。 内気な大学生・空野かけるはひとりの女性に出会う。名前は冬月小春。周りから浮くほど美人で、よく笑い、自分と真逆で明るい人。話すと、そんな印象を持った。最初は。 ただ、彼女は目が見えなかった。 それでも毎日、大学へ通い、サークルにも興味を持ち、友達も作った。自分とは違い何も諦めていなかった。 ――打上花火をする夢も。 目が見えないのに? そんな思い込みはもういらない。気付けば、いつも隣にいた君のため、走り出す―― ――これは、GA文庫大賞史上、最も不自由で、最も自由な恋の物語。 ※電子版は紙書籍版と一部異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください
ISBN: 9784815621452ASIN: 4815621454
作品考察・見どころ
本作の真髄は、情報の海に溺れる現代人に対し、魂で世界を捉え直す勇気を提示した点にあります。不自由を抱えながらも自由を謳歌するヒロインと、内気な殻に閉じこもる主人公。この鮮烈な対比が、読者の既成概念を心地よく打ち砕き、真の「心の自由」とは何かを鋭く問いかけてきます。 志馬なにがしは、見えない音や気配を色彩よりも鮮やかに描き出します。特に打上花火の場面は、文学ならではの「見えないからこそ美しい」という逆説の極致。互いの心が共鳴する瞬間、愛は視覚を超えた祈りへと昇華されます。ページをめくるたび、あなたの世界もまた、眩い光に包まれるはずです。