久しぶりに私の唇に触れたのは、好きでもなんでもない既婚者上司の唇だった。彼氏とは違う煙草の匂い、無精髭がくすぐったい。私はきっと怒るべきだったのだ。だけど受け入れてしまっていた、潤ってしまっていた。唇だけでなく、心も体も。このキスに意味なんてないことはわかっている。もちろん愛なんてなおさら。私が彼を何とも思っていない以上に、彼にとって私はただの部下にすぎないのだから。そのキスは切なくて甘くて苦い『キストモ』の始まりだった。香織、優子、まりな、美咲、柚月、麻衣、みなみ。年齢も職業もバラバラの7人の女がキスに迷い、キスに惑い、キスを煩い、キスで繋がる物語。