あらすじ
『ジュラシック・パーク』3部作の真実に迫る待望のメイキングブック。 豊富な写真やスケッチ、コンセプトデザインなど未公開図版も満載の本書では、スピルバーグやキャスリーン・ケネディをはじめとする制作スタッフたちのリアルな裏話、スケジュールや予算までを公開し、いまや伝説となった傑作シリーズの裏側をすべて解き明かす! もちろん映画の主役・恐竜たちも詳しく紹介。スタン・ウィンストンとそのチームによるデザインからフルスケールの恐竜たちのメイキング、映画史を変えたデニス・ミューレンやスティーヴ・ウィリアムズらによるCG導入も、レストランでの初期ミーティングからお披露目まで順を追ってドキュメント。CGIがフィル・ティペットによるストップモーションにとって代わるまでのいきさつに加え、視覚効果に対するスピルバーグの心境がかわっていく様も克明に記されている。 第1作『ジュラシック・パーク』の章では、作家として脚光を浴びはじめたマイケル・クライトンと、かけ出しテレビ監督だった20代のスティーヴン・スピルバーグの運命的な出会いから原作誕生にいたる経緯、ティム・バートン、ジェームズ・キャメロンやリチャード・ドナーらヒットメーカーを巻き込んだ映画化争奪戦のいきさつなど、映画の誕生前史も詳しく紹介。 クライトンが自ら執筆した脚本をスピルバーグが採用しなかった理由とは?二転三転した末に脚本を執筆した鬼才デヴィッド・コープによる大胆な原作の改変についても、初期コンセプトアートとあわせて解説。 ハリソン・フォード、リチャード・ドレイファス、カート・ラッセルと紆余曲折したグラント博士のキャスティング、こだわりぬかれた美術デザインから衣装、音楽や音響効果、さらにはTレックスのシルエットを使ったロゴマークの誕生秘話にも言及。映画作りに対する、スピルバーグらスタッフの熱いこだわりが伝わってくる。 さらに複雑さを増した第2弾『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』の大がかりなプロダクション、脚本完成前に撮影がスタートした第3弾『ジュラシック・パークIII』の現場の混迷から、3作目がシンプルなタイトルに決まった理由まで初出し情報が盛りだくさん!資料的な価値はもちろん、映画に負けないくらいドラマッチックなその舞台裏は、映画ファンならずとも引き込まれるだろう。 『ジュラシック・パーク』シリーズのボツ案が、『ジュラシック・ワールド』シリーズに生かされているなど意外な発見もある本書。『ジュラシック』シリーズ完結篇、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』を観る前に、ぜひ読んでおきたい一冊だ。 カバーは本国版を踏襲、本体は公式に許可された日本版オリジナル表紙となっている。
作品考察・見どころ
マイケル・クライトンの緻密な知性とスピルバーグの感性が火花を散らす、創作の最前線を捉えた傑作です。本書は単なる資料集に留まらず、科学の警鐘を鳴らす原作の「思想」がいかにして映画という「体験」へ昇華されたかを解き明かします。大胆な脚本改変の裏にある表現者たちの葛藤は、一種の文学的な深みすら感じさせます。 テキストの重厚さが、CG黎明期の熱狂と融合し、新たな生命として咆哮をあげる過程は圧巻です。小説ならではの思索的な側面と、映像がもたらす圧倒的なリアリズム。両メディアのシナジーがいかにして現代の神話を構築したのかを辿る旅は、読者の知的好奇心を激しく揺さぶるに違いありません。