あらすじ
2009年11月、警視庁は捜査一課にコールドケースを専門に扱う特命捜査対策室を設置。残された数少ない証拠、記憶の薄れた関係者の証言、そして最新の科学技術を頼りに事件解決に挑む―警視庁捜査一課の『未解決事件特命捜査対策室』に、3カ月前に配属されたのは新人刑事・桜木泉(上戸彩)。室長の長嶋秀夫(北大路欣也)に「カメ」とニックネームをつけられながらも、泉は強い個性を持つ捜査員達と、時に対立しながら、時に叱咤激励を受けながら一歩一歩、難事件を解決していく。2010年春に放映された、人気ドラマ「絶対零度」(フジテレビ系)、完全ノベライズ。
ISBN: 9784594064488ASIN: 4594064485
作品考察・見どころ
本書は、未解決事件という時が止まった「絶対零度」の世界に、一人の新人刑事が情熱という名の微かな熱を吹き込む物語です。単なる警察小説の枠を超え、風化していく記憶と向き合う人間の業、そして救われなかった過去を掬い上げる執念が描かれています。止まった時計を再び動かそうとする登場人物たちの葛藤は、読者の心に静かな、しかし確かな感動を呼び起こします。 映像版が主演の上戸彩氏による瑞々しい躍動感で魅せるのに対し、このノベライズは文字ならではの緻密な内面描写が光ります。映像では一瞬の表情で処理される感情の機微が、テキストによって深く掘り下げられ、事件の背後にある孤独や後悔がより鮮明に立ち上がってきます。画面から溢れ落ちた情報の断片を補完し、物語を立体的に再構築する喜びこそが、本書を手に取る最大の醍醐味と言えるでしょう。
