崎谷はるひ氏の代表作である本作は、単なる恋愛小説の枠を超え、魂の再生を静謐かつ力強く描いた傑作です。挫折を味わった画家・慈英の研ぎ澄まされた感性と、荒々しくも美しき刑事・臣の熱情が交錯する瞬間、紙面からは色彩豊かな情景と、胸を締め付けるような切実な渇望が立ち上がります。
著者の卓越した筆致は、人物の微細な心理変化を逃さず、言葉に確かな質感を宿らせています。理屈では割り切れない衝動が愛へと昇華する過程は、まさに芸術家がキャンバスに色を重ねるような美しさに満ちています。二人の魂が激しく共鳴し合うその瞬間に、読者は真実の愛の輪郭を鮮烈に目撃するはずです。