ベティ・ニールズ/江口美子
孤独な灰かぶり令嬢への求婚は、同情、友情、それとも……?両親を亡くし、慣れ親しんだ故郷からロンドンに出てきたアラベラは、医師タイタスの病院の地下室に住み込む管理人の仕事を見つけた。待合室や診察室の掃除や、患者や職員のために玄関を開閉するなど、日々のこまごました庶務をおこなうのが主な仕事だ。アラベラは部屋を飾り、おいしい料理を作ってささやかな幸せに浸るが、そんな彼女に、雇い主のタイタスは同情を禁じえなかった。良家の令嬢でありながら、こんな地下室暮らしをするしかないとは……。だが、働き者で、しかも有能なアラベラと接するうち、タイタスは妙案を思いついたーー彼女は“妻”としても有能に違いない。「ぼくと結婚してほしい。君を愛してはいないけれど」「君がここに一人で住み、友達もおらず、娯楽もなく、ただ働いているということが気になる」タイタスはアラベラを気にかけていることを伝え、愛ではないけれど、彼女と一緒にいると楽しいと告げます。アラベラはそんな彼の真意がつかめず、悩みに悩んで……。