坂東忠信氏の筆致は、実務経験に裏打ちされた冷徹なリアリズムと、祖国を憂う熱い情念が同居しています。本書は単なる隣国批判を超え、日本人が抱く性善説という「聖域」に鋭いメスを入れる衝撃作です。異質な倫理観との衝突を具体的事象から解き明かす視点は、読者の安穏とした日常を揺さぶる文学的な凄みさえ湛えています。
最大の魅力は、平和主義の裏に潜む危うさを浮き彫りにする「鏡」としての役割です。自らの優しさが弱点に転じる矛盾を突きつけられる体験は、一種の啓示に近い衝撃を与えるでしょう。著者が放つ警告は、混沌とする時代を生き抜くための研ぎ澄まされた処方箋であり、日本人の魂に覚醒を促す情熱に満ちた必読の書です。