あらすじ
350年の時を刻む老舗デパート『三越』
楽しいときも、悲しいときも
いつでも、むかえてくれる場所
物語の名手たちが奏でる6つのデパートアンソロジー
文庫オリジナル!
制服の採寸に訪れて感じたある予感。ライオンに跨る必勝祈願の言い伝えを試して見えたもの。老いた継母の買い物に付き合ってはぐれてしまった娘。命を宿した物たちが始めた会話。友達とプレゼントを買いに訪れて繋がった時間。亡くなった男が最後に買った土産。歴史あるデパートを舞台に、人気作家6人が紡ぐ心揺さぶる物語。
「思い出エレベーター」辻村深月
階下を見下ろしている泣きそうな顔の子どもがもし、いたら。
「Have a nice day!」伊坂幸太郎
三越のライオン、知ってる? あれに跨ると夢が叶うんだって。
「雨あがりに」阿川佐和子
三越でしか買い物をしないなんて、どこかのお嬢様のすることだ。
「アニバーサリー」恩田陸
ざわざわするというか、ウキウキするというか。
「七階から愛をこめて」柚木麻子
私の本当の願いはね。これから先の未来を見ることなの。
「重命(かさな)る」東野圭吾
草薙は思わず声をあげて笑った。「いいねえ、湯川教授の人生相談か」
映画・ドラマ版との違い・考察
350年の歴史を誇る三越を舞台に、現代日本を代表する六氏が「百貨店」という空間に宿る魔法を鮮やかに描き出しています。辻村深月の叙情的な筆致や東野圭吾の理知的な温かさは、単なる買い物の場を、過去から未来へと繋がる人生の交差点へと昇華させました。言葉のひとつひとつが、伝統という重みの中に潜む瑞々しい感動を掘り起こし、読者の心の奥底に眠る大切な記憶を優しく刺激します。 映像化された本作は、活字が紡ぎ出す緻密な心理描写と、映像ならではの豪華絢爛な空間美が見事に共鳴しています。映像が映し出す荘厳な佇まいを背景に、原作で語られた名もなき人々の微細な感情が重ね合わされることで、物語はより重層的な広がりを見せます。静謐な読書体験と躍動する視覚的な美しさが混ざり合い、私たちの日常を祝祭のように輝かせる至高のシナジーを生み出しているのです。