太田垣康男が描く本作の真髄は、兵器の機能美と魂を削り取られる人間の凄惨な対比にあります。第15巻で描かれるのは、英雄という偶像に祭り上げられたダリルとイオが己の業に直面し、崩壊していく極上のハードボイルドです。個の尊厳が戦火に溶けていく描写は、既存のガンダム像を破壊するほどの文学的衝撃を放ちます。
映像版がジャズの旋律で昂揚感を与えたのに対し、原作は静寂に宿る戦士の孤独を克明に刻みます。緻密な筆致が表現する金属の軋みと肉体の悲鳴は、紙媒体でしか到達できない深淵です。映像で物語の輪郭を掴み、原作で絶望の深層に触れる。この往復こそが、本作を真に理解する唯一の道と言えるでしょう。