あらすじ
『神様のカルテ』著者、新たなステージへ!
「少しばかり不思議な話を書きました。
木と森と、空と大地と、ヒトの心の物語です」
ーー夏川草介
第一話 寄り道【主な舞台 青森県弘前市、嶽温泉、岩木山】
第二話 七色【主な舞台 京都府京都市(岩倉、鞍馬)、叡山電車】
第三話 始まりの木【主な舞台 長野県松本市、伊那谷】
第四話 同行二人【主な舞台 高知県宿毛市】
第五話 灯火【主な舞台 東京都文京区】
藤崎千佳は、東京にある国立東々大学の学生である。所属は文学部で、専攻は民俗学。指導教官である古屋神寺郎は、足が悪いことをものともせず日本国中にフィールドワークへ出かける、偏屈で優秀な民俗学者だ。古屋は北から南へ練り歩くフィールドワークを通して、“現代日本人の失ったもの”を藤崎に問いかけてゆく。学問と旅をめぐる、不思議な冒険が、始まる。
“旅の準備をしたまえ”
【編集担当からのおすすめ情報】
シリーズ330万部のベストセラー『神様のカルテ』著者、最新作!
カバーイラストは、
『むぎわらぼうし』『ルリユールおじさん』で知られる
絵本作家・いせひでこさんにお寄せいただきます。
作品考察・見どころ
本作は、命の現場を鮮烈に描いてきた著者が、民俗学というレンズを通して日本人の精神的深淵に挑んだ野心作です。合理化された現代社会が切り捨てた「畏怖」や「祈り」を、各地の風景とともに静謐かつ力強い筆致で掬い上げています。風景描写の端々に宿る豊かな温度感は、読者の内側に失われた日本の心象風景を鮮やかに蘇らせます。 偏屈な老教授と学生の対話は、学問的な知見を超え、生きる意味を問う深遠な哲学へと昇華されています。各地の伝説に隠された人々の哀しみや希望を読み解く過程は、まさに魂を浄化するような慈愛に満ちています。言葉の奥底から立ち上る土の匂いや風の音を五感で味わう、極上の知的冒険がここにあります。