野沢尚
首都テレビ報道局のニュース番組で映像編集を担う遠藤瑤子は、虚実の狭間を縫うモンタージュを駆使し、刺激的な画面を創りだす。彼女を待ち受けていたのは、自ら仕掛けた視覚の罠だった!?事故か、他殺か、一本のビデオから始まる、超一級の「フー&ホワイダニット」。第43回江戸川乱歩賞受賞の傑作ミステリ。
野沢尚が放つ本作は、情報の「編集」が孕む狂気と暴力性を暴き出す戦慄のメディア・ミステリです。映像で真実を捏造する者が、自ら放った視覚の罠に堕ちていく様は、神の視点を求めた人間の悲劇として崇高なまでの恐怖を漂わせます。 映像化作品では巧妙なモンタージュが具体的に示されますが、原作には活字だからこそ可能な「思考の共犯関係」があります。映像版の刺激に対し、書籍は読者の脳内に邪悪な想像力を植え付ける。両者を味わうことで真実が崩壊する目撃者となる。これこそが野沢尚の仕掛けた究極の罠なのです。
野沢 尚 は、日本の脚本家・推理小説家。愛知県名古屋市出身。愛知県立昭和高等学校、日本大学芸術学部映画学科卒業。既婚。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。