あらすじ
「ほら、これが法的三段論法ですね。美しいでしょう」
「えっ? あ、はい……」
山の上の高校に通う2年生の僕は、放課後に寄り道した喫茶店「赤ひげ小人」で、近所にある港湾大学のキヨミズ准教授と出会う。大学で「受講生0人の法学入門」を受け持つ少しヘンなその先生は、お願いもしてないのに、法的思考のすばらしさを高校生相手に嬉々として語り出してーー。
「高度な内容を分かりやすく」を信条に首都大学東京で教鞭をとる若手憲法学者の木村草太准教授が、進路に迷う高校生や法学に拒絶反応を示す文学部生にも分かるように、物語の手法を用いて生き生きと、そして最高に面白く語る「日本一敷居の低い法学入門」誕生!
ISBN: 9784061385276ASIN: 4061385275
作品考察・見どころ
本書の白眉は、憲法学者・木村草太の緻密な論理と物語の叙情性が鮮やかに共鳴している点にあります。法的三段論法を「美しい」と愛でるキヨミズ准教授の情熱的なキャラクターは、無機質な法典に体温を吹き込み、読者を論理という名の芸術世界へと誘います。日常を解体し再構築していく過程は、第一級のミステリにも通じる知的な官能を湛えています。 物語の底流にあるのは、正解のない社会を生き抜くための「思考の作法」という真摯なテーマです。対話を通じて描かれるのは、法が抑圧の道具ではなく、自由を守るための盾であるという真実です。読み終えたとき、世界を見る視座は一変し、論理の背後に潜む人間の営みの豊かさに、拭いがたい感動を覚えるはずです。



