今ノ夜きよし/小太刀右京(チーム・バレルロール)/矢立肇・富野由悠季
U.C.0121--腐敗した地球連邦の人々を目の当たりにしたイヴァルは”オールズモビル”の強襲をうける。シュテインらと迎え撃つが、そこに現れたのは!? イヴァルにとっての「本当の戦い」が始まる。
本作の真髄は、宇宙世紀0120年代という「空白の時代」を舞台に、腐敗した体制への絶望と、個人が抱く正義の相克を痛烈に描き出している点にあります。小太刀右京による緻密な軍事考証と今ノ夜きよしの動的な筆致は、単なるロボットアクションの枠を超え、歴史の狭間で足掻く若者たちの魂の咆哮を、見事な人間ドラマへと昇華させています。 映像版では表現しきれなかったイヴァルの内面的な葛藤や、モビルスーツという鉄の塊に託された祈りにも似た感情の機微を、紙面ならではの心理描写で深く味わえるのが本作の醍醐味です。画面の向こう側の熱狂を、より静謐かつ重厚な文学的体験として補完し、物語の解像度を極限まで高めてくれる、ファンならずとも心震える必読の完結巻と言えるでしょう。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
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