あらすじ
15年経った今でもノイタミナ全70作中第1位(※「あなたが選ぶ思い出の3作品」2005年ー2009年制作部門1位)という人気を誇る和製ホラーアニメ作品『モノノ怪』。その作品世界を踏襲したスピンオフ小説を「僕僕先生」「黄泉坂案内人」 シリーズで人気の仁木英之が書下ろす。
猪苗代湖畔の天守に夜になると現れる姫、深川の長屋住まいのつくり花師を取り込んだ妖狐、古戦場に現れる獰猛な妖怪、本郷前田藩の屋敷近くに出る顔をはぐ怪物など、モノノ怪あるところに現れる妖しき薬売り。「形」「真」「理」の3つが揃うとき、薬売りの持つ”退魔の剣”の封印が解かれ、モノノ怪を斬る! 斬新な世界観で多くのファンを魅了した和製ホラーアニメ『モノノ怪』に登場する謎多き薬売りのスピンオフ小説、全6話。帯推薦文は、中村健治監督! カバーイラストは、”神絵師”と話題のおく さん!! @2964_KO
目次
第一話 鎌鼬(かまいたち)
第二話 亀姫(かめひめ)
第三話 玉藻前(たまものまえ)
第四話 文車妖妃(ふぐるまようひ)
第五話 饕餮(とうてつ)
第六話 ぬっぺらほふ
作品考察・見どころ
仁木英之が綴る本書は、映像の極彩色を重厚な言葉で再構築した、五感を揺さぶる文芸の極致です。人の業や執着が生むモノノ怪を、単なる異形としてではなく、人間の深層心理に潜む「真と理」の結実として冷徹かつ艶やかに描き出しています。薬売りの静謐な佇まいが、読者の脳内で新たな命を宿す瞬間、物語は単なる娯楽を超えた怪異譚へと昇華されます。 映像版が視覚的な革新で世界を圧倒したのに対し、小説版はテキストならではの濃密な心理描写と情景の「匂い」で、その余白を鮮やかに埋め尽くします。映像では一瞬の演出に込められた情念を、著者は言葉の積み重ねによって深く穿ち、読者に提示します。両メディアを横断することで、モノノ怪という現象の全貌がようやく輪郭を現す、正に補完し合う関係性がここにはあります。