理想の自分を演じ続ける疲弊と、剥き出しの感情をぶつけるカタルシス。本作は、結婚を幸福のゴールと捉える画一的な女性観を痛烈に風刺しつつ、愛の定義を根底から問い直す野欲作です。主演の真野恵里菜が魅せる計算高い愛らしさと、横浜流星の献身的な佇まい。二人の歪な関係性が、やがて本物の感情へと揺らぎ始める瞬間の熱量には、映像作品ならではの生々しい引力が宿っています。
抑圧された欲望を肯定し、モノ化された人間関係の中に逆説的な「人間性の回復」を見出す。野島伸司脚本らしい毒気とポップな映像美が融合した、現代人の孤独に深く突き刺さるエンターテインメントの傑作です。