あらすじ
定年を間近に迎える冴えないサラリーマン・犬屋敷壱郎は会社や家庭から疎外された日々を送っていたが、ある日突然、医者から末期ガンによる余命宣告を受け自暴自棄になる。その晩、突如飛来したUFOの墜落に巻き込まれ機械の体に生まれ変わった彼は人間を遥かに超越する力を手に入れることになる。一方、同じ事故に遭遇した高校生・獅子神皓は、手に入れた力を己の思うがままに行使し始めていた。
作品考察・見どころ
老いと孤独に苛まれる小日向文世の震えるような声が、無機質な機械の体を得た主人公に圧倒的な人間味を吹き込んでいます。善意の象徴である彼と、破壊でしか生を実感できない若者という対極の構図は、現代社会が抱える希薄な倫理観と虚無感を鋭く抉り出します。鋼鉄の体に宿る熱い魂が、絶望的な破壊の嵐に抗う姿は、観る者の魂を激しく揺さぶるでしょう。
映像表現としても、見慣れた日常の風景が瞬時に地獄へと変貌する様が冷徹に、かつダイナミックに描かれています。無慈悲な力に翻弄される人々の中で、それでも「誰かのために」と立ち上がる人々の静かな熱量が、物語に高潔な救いを与えています。圧倒的な力を手にした時、人は神になるのか、それとも獣になるのか。本作は究極の選択を突きつける、残酷で美しい人間賛歌です。
ドラマ・アニメ化された映像作品と原作・関連本と読み比べて、オリジナルならではの違いや描かれなかった裏設定、より深い世界観を独自の視点から楽しみましょう。