本作が描くのは、純愛と背徳が表裏一体となった、あまりにも残酷で美しい人間の業です。托卵という極めて刺激的なテーマを軸にしながら、単なる不倫劇に留まらない究極の選択を突きつけます。大切なものを守るために嘘を重ねるヒロインの葛藤は、観る者の倫理観を激しく揺さぶり、静謐ながらも息の詰まるような心理戦が展開されます。
松本若菜が見せる、崩れそうな均衡を保つ繊細な表情は圧巻です。さらに、身勝手さと脆さを併せ持つ夫役の田中圭、運命を狂わせる幼馴染役の深澤辰哉による熱演が、愛の歪みを鮮烈に浮かび上がらせます。日常の綻びを切り取った叙情的な演出と、言葉にできない沈黙が雄弁に語る幸福の正体を、ぜひその目で確かめてください。