本作の革新性は、刑事を英雄ではなく巨大組織の「サラリーマン」として描いた点にあります。縦割り社会の不条理や官僚主義を、コミカルかつシビアに炙り出す演出は、従来の刑事ドラマの枠を完全に塗り替えました。現場で泥にまみれる青島と、組織の頂点で苦悩する室井。対照的な二人が立場の壁を超えて魂を響かせ合う姿は、組織で働く全ての者の心を震わせる熱量に満ちています。
いかりや長介氏の重厚な存在感や、愛すべき湾岸署の面々が物語に温かな血を通わせます。組織の論理と個人の正義が衝突するなかで、社会の構造そのものを問い直す切実なメッセージは、今なお色褪せない鋭さを放っています。