ルドルフ・フルシンスキーの演技は、まさに「善良な兵士」シュヴェイクの精神が乗り移ったかのようです。彼の無垢で飄々とした佇まいは、戦争という巨大な不条理を笑い飛ばす最高の武器となっています。権威を徹底的に無力化する「極端なまでの従順さ」という逆説的な戦い方は、現代を生きる私たちにも強烈な勇気とカタルシスを与えてくれます。
原作の持つ痛烈な風刺を、映像ならではの豊かな表情と絶妙な「間」で見事に昇華させた演出も圧巻です。活字の想像を超えたシュヴェイクの圧倒的な存在感が、硬直した軍隊組織の滑稽さをこれ以上ないほど鮮烈に暴き出しています。不条理な世界を軽やかに生き抜くための哲学が詰まった、全人類が観るべき反戦コメディの金字塔と言えるでしょう。