あらすじ
喜劇の名手・三谷幸喜が監督・脚本を担当、政治の世界を舞台に、支持率低迷にあえぐ総理大臣が記憶喪失に陥ったことから始まるドタバタ群像劇を綴る。中井貴一が、傲慢で利己的、国民からも家族からも総スカンを食らう“史上最悪の総理大臣”役で主演。記憶とともに、政治のイロハも過去のしがらみも忘れた主人公は誠実な人間、誠実な政治家として生まれ変わろうとするが? 切れ者の秘書役のディーン・フジオカや総理夫人役の石田ゆり子をはじめ、草刈正雄、佐藤浩市、小池栄子ら実力派俳優たちの演技合戦も見もの。
作品考察・見どころ
三谷幸喜監督が放つ本作の真髄は、政治という硬派な舞台を借りて「人間性の回復」を鮮やかに描き出した点にあります。主演の中井貴一が見せる、傲慢な権力者から純朴な善人へと変貌する演技の振り幅は圧巻です。表情一つで滑稽さと哀愁を同時に表現するその卓越した技術が、虚飾にまみれた永田町の日常を痛快なコメディへと昇華させています。
真っさらな良心を武器に立ち向かう姿は、冷笑主義に陥りがちな現代社会への強烈なアンチテーゼでもあります。ディーン・フジオカや佐藤浩市ら実力派が織りなす極上のアンサンブルは、単なる風刺を超え、誰もが「やり直せる」という普遍的な希望を提示します。笑いの裏に潜む誠実なメッセージこそが、本作を傑作たらしめているのです。