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本作が放つ最大の輝きは、人間の内面に潜む「誇り」と「犠牲」という普遍的な葛藤を、極めて洗練された映像美で描き出している点にあります。1930年代の英国映画特有の重厚な空気感の中で、個人の道徳心と社会的な義務が激しく衝突する様は、時代を超えて観る者の倫理観を揺さぶります。沈黙が語る心理描写の巧みさは、現代の映画では味わえない濃密な余韻を約束してくれます。 レスリー・バンクスが見せる威厳に満ちた佇まいと、ウィル・ファイフによる情緒豊かな表現のコントラストは圧巻です。特に、ジェラルディン・フィッツジェラルドの繊細な表情が、物語に切実な人間味と奥行きを与えています。役者たちの視線の交差ひとつで、言葉以上に重い名誉の重責を観客の胸に刻み込む演出力こそ、本作を単なるドラマに留めない真の見どころと言えるでしょう。
監督: Norman Walker
脚本: Herman C. McNeile / Cyril Campion / Thomas J. Geraghty
制作: John Corfield
撮影監督: Robert Martin
制作会社: British National Films