この映画の真髄は、愛を否定するほど孤独を深める男女の「心の氷解」を、息を呑むような映像美で描いた点にあります。ムン・グニョンが魅せる視力を失った少女の透明なまでの孤独感と、故キム・ジュヒョクが体現する虚無に満ちた男の葛藤が重なり合う瞬間、観る者は欺瞞の先にある真実の愛を目撃します。二人の極限の演技がぶつかり合う美学に、魂が激しく震えるはずです。
光と影、そして凍てつく空気感さえ伝える演出は、目に見えるものに惑わされず、心の奥底で繋がることの尊さを力強く訴えかけます。これは単なる悲恋物語ではなく、偽りの世界で唯一本物の輝きを探し求める人間の尊厳を描いた抒情詩です。冷え切った心を抱える現代人の魂に灯をともす、忘れがたい名作と言えるでしょう。