市川崑監督による本作は、映像美の極致を追求した絢爛豪華な様式美が最大の見どころです。主演の長谷川一夫が見せる女形と義賊の演じ分けは、観る者を幻惑するスター性を放っています。舞台的な大胆な構図と色彩設計は、復讐劇という古典を極めてモダンな映像芸術へと昇華させています。
暗闇を活かした独自の演出は登場人物の情念を鋭く浮き彫りにし、全編が計算し尽くされた美の衝撃を与えます。山本ふじこや若尾文子ら名優の競演も相まって、時代劇の枠を超えた表現の革新性に満ちています。今なお色褪せないその鋭敏な感性は、映画という表現の無限の可能性を雄弁に物語っています。