あらすじ
『ブルータスの心臓-完全犯罪殺人リレー』(ブルータスのしんぞう かんぜんはんざいさつじんリレー)は、東野圭吾の推理小説。産業機器メーカーで人工知能ロボットの開発に携わる末永拓也が窮地に陥った。妊娠した愛人、雨宮康子が、掻爬を拒んだためである。上昇志向の強い拓也は、オーナーの女婿になりたいと言う目論見を持っていた。事態の露見は、野望の頓挫を意味する。 そんな中、打開策を見出せない状態に焦りを覚えていた拓也に、意外な提案を持ち掛ける者が現れた。共同作業で康子を殺害しようと言うのである。男達の、完全犯罪殺人リレーがスタートした。
作品考察・見どころ
藤原竜也が体現する、計算高くもどこか脆さを孕んだエリートの肖像が、本作の圧倒的な緊張感を生み出しています。完璧な犯罪計画が狂い始めていく過程で、理知的な仮面が剥がれ落ち、生々しいまでの焦燥感が画面越しに伝わってくる演出は見事です。人間の業とエゴが激しく衝突する心理戦は、単なるミステリーの枠を超えた凄みを感じさせます。
緻密に構築された映像表現は、登場人物たちが陥る迷宮のような閉塞感を見事に描き出しており、観る者を息つく暇もないスリリングな時間へと誘います。欲望の果てに待ち受けるのは救済か、それとも破滅か。運命に翻弄される人々の滑稽さと悲哀を、鋭い洞察力で切り取った本作は、人間の心の深淵を覗き込むような濃密な映像体験を約束してくれるでしょう。