あらすじ
天正10年、織田信長が死んだ本能寺の変の後、筆頭家老の柴田勝家と羽柴秀吉が織田家の後見に名乗りを上げた。勝家と秀吉はそれぞれに信長の後継者を推し、一族や家臣たちを味方に付けていく。そして清須城での会議にて織田家の今後を取り決めることとなった。会議には勝家と秀吉に加え、勝家の盟友であり参謀的存在の丹羽長秀、立場を曖昧にして、強い方に付こうと画策する池田恒興が出席。一進一退の駆け引きが繰り広げられる。
作品考察・見どころ
織田信長の跡継ぎを決める評議を、壮大な心理戦と喜劇として描き切った三谷幸喜監督の手腕に唸らされる。本作の本質は、合戦シーンではなく言葉と表情による緻密な政治闘争だ。愚直な勝家を演じる役所広司と、野心溢れる秀吉を演じる大泉洋。この対照的な二人が放つ熱量は、歴史を動かすのは高潔な大義ではなく、あまりに人間臭い欲望と打算であることを痛烈に物語っている。
全編を彩る豪華キャスト陣の競演も圧巻だ。広大な屋敷を舞台にした密室劇でありながら、役者の顔の歪みや視線の交錯だけでこれほどまでにスリリングな興奮を生み出せるとは。史実という動かしがたい結末を知りながらも、そのプロセスに潜む滑稽さと切なさに胸を打たれる。歴史の重厚さと人間の愛らしさが同居する、極上のエンターテインメントとして結実している。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。