安彦良和監督が自ら筆を執った本作は、ギリシャ神話を換骨奪胎し、宿命に抗う少年の魂を圧倒的な画力で描いた叙事詩です。中原茂や鈴置洋孝ら名優の熱演が神々の傲慢さと人間の情熱を浮き彫りにし、久石譲の音楽と共に五感を揺さぶります。全編を貫く泥臭くも崇高な生命の躍動こそ、本作の真髄と言えるでしょう。
原作漫画の重厚な世界観を凝縮した映画版は、アリオンが血の呪縛を断つカタルシスをより鮮烈に際立たせました。アニメーションならではの躍動感へと昇華された安彦造形の美しさは、紙面を超えた感動を呼び起こします。神々の支配を否定し、自らの足で大地に立つ意志の強さは、今なお観る者の胸を熱く焦がしてやみません。