あらすじ
1865年京都。新選組は新たに隊士を募集し多くの志願者が集まる中、一際異彩を放つ美少年がいた。加納惣三郎と名乗るその青年は剣豪・沖田総司をも手こずらせる程の剣の腕の持ち主だった。そして、もう一人、加納と双璧をなす程の剣の腕の持ち主・田代彪蔵の二人が入隊を許可された。しかし、この二人の入隊によって新選組内部の空気は少しずつ変わっていくことになる。田代は衆道(男色)の気を持つ男であり、惣三郎を衆道に引きずり込もうとしていた。そんな中、惣三郎に密かに想いを寄せていた隊士・湯沢藤次郎が何者かによって惨殺される。土方は湯沢の恋敵であった人間が斬ったのではないかと疑い始める。
作品考察・見どころ
大島渚監督が到達した美学の極致とも言える本作は、新選組という屈強な男たちの集団を舞台に、美少年・加納惣三郎が放つ抗いがたい「毒」が秩序を静かに、しかし致命的に瓦解させていく様を冷徹かつ艶やかに描き出しています。デビュー作となる松田龍平の圧倒的な浮世離れした存在感と、ビートたけしの土着的な凄みの対比が、武士道という虚構の綻びを鋭く突きつけます。
法や規律によって抑圧された欲望が、美という予測不能な変数の前でいかに脆く、残酷に変貌するか。この作品が放つ本質的な魅力は、死と隣り合わせの緊張感の中に漂う濃密なエロスにあります。様式美を極めた映像演出が、人間という生き物の不可解な深淵を浮かび上がらせ、観る者の倫理観を激しく揺さぶる至高の一作です。