あらすじ
リストラされてヤケ酒をあおり、その果てにチンピラとトラブルを起こした孤独な青年。おびただしい数のマネキン人形が廃棄されている歌舞伎町の廃虚ビルへと逃げ込んだ彼は、そこで人間の少女のような肉体をしたセーラー服姿のフィギュアを見つける。胸をもみしだき、下着を脱がせるなどして、フィギュアと甘い時間を過ごしていたが、ビル内で犯罪行為を働くヤクザたちの姿を目撃。彼らに追い詰められ、青年は死を覚悟するが、突如としてフィギュアが動き出してヤクザを次々と蹴散らしていく。
作品考察・見どころ
石井隆監督が自著を映画化した本作は、愛の本質が孕む狂気と悦楽を、陶酔感あふれる映像美で描き出しています。柄本佑の虚無的な佇まいと、佐々木心音の現実離れした造形美がぶつかり合い、人間と人形の境界が溶解していく様は圧巻です。対象を物として所有したいという剥き出しの執着が、観る者の背徳的な欲望を鮮烈に揺さぶります。
原作が持つ静謐なエロスを、監督自らが光と影の演出で拡張し、映像ならではの肉体的な質感を伴う純愛へと昇華させました。言葉を超えた湿り気のある空気感と、フィギュアという静止したモチーフが放つ異様な存在感は、映像でしか表現し得ない究極の官能です。孤独な魂が彷徨う果てに辿り着く美しき地獄を、ぜひその目で目撃してください。